こんにちは。墨田区 錦糸町にある夢を叶える音楽教室の大友です。
歌やギターに限らず、楽譜を見ながら演奏するは、ありなのかなしなのか。
ちょうど先日、音楽教室の生徒さんとそんな話で盛り上がったので書いておこうと思います。
大切なのは自分のスタイル
こういう「どっち?」の話は往々にして「人による」っていうのが私の一番思うところですが、少しヒントになるようなお話を。
クラシックピアノの場合
例えばクラシックピアノの巨匠は、楽譜見ながら演奏することも多いと思います。とても全部は覚えられないような凄い難曲だからだと思うのですが、それ以上に、基本は楽譜を演奏することを目的にしています。
もちろん、演奏者の感情やセンスなど様々な要因でその曲は完成されるのですが、外せないのはその楽譜を素晴らしい演奏技術で奏でるということです。それゆえそのソースである当然楽譜を見てても、視聴者は違和感を感じません。
アイドルやポップスの場合
アイドルやポップスは楽譜を演奏するのではなく、その曲のストーリーを使って自分を奏でます。楽譜通り演奏することが目的ではなく、自分の感情を演奏するのが目的です。
例えば恋愛の曲としましょう。「あの人のこと愛している。胸が苦しいの!」なんて歌詞を、楽譜見て歌っているとします。あなたは客席から見てどう思いますか? きっと最高評価で「この日と歌上手い!」でしょう。上手いのは当たり前の話です。素晴らしい演奏を聴いたとき、いつの間にか視聴者は歌手と同調し、そのストーリーの主人公になっているはずです。この曲であれば自分の恋愛と重ねているでしょう。それが感動を呼び、演奏の目的でもあります。
役者になりきる
音楽で大事なのは「音程」「音色」「リズム」と私は常々言っていますが、これは最低限の基礎力です。これは絶対欠かせないことなので、レッスンでは徹底します。しかしそれ以上に私が大事にしていることは、「役者になること」です。
TVドラマや舞台を想像してください。イケメン俳優や美人女優がでてきました。見つめあって素敵なセリフを吐くとき、片手には台本がある。一気に興ざめしてしまいますよね。
音楽は大事なメッセージを発信する方法です。その大事なメッセージもカンペ見て言うようでは、相手に伝わらないのではないでしょうか。
許される場所、許されない場所
本当は全ての場で楽譜は見ないほうが良いです。私がまだ若いころ、全盲のミュージシャンと同じステージに上がったときに「大友君、楽譜やめなよ」って怒られたことがあります。目が不自由なので、私が楽譜見ているなんて本当は分からないですよね。でもハッとしましたね。私の演奏はただ紙に書かれたことを、やっとこ音にしている無意味なものだと伝わってしまったんです。
ただ、たとえばバックバンドの仕事で、あまり知らない曲を演奏するときはありかなと。誰も私のことなんか見ないで、メインのフロントの人を見て聴いています。何度も言うようですが、見ないに越したことはないです。ただ許容範囲だと思います。だって覚えられないもんーーーーー。でもだから、いくらプロでも即席バンドでは、長い間一緒にいるバンドには敵わないのでしょうね。
ただ、フロントの人は常に楽譜を見てはいけません。あまり知らない曲だから、まだ覚えてないから、なんて言うのは論外です。お客様はこの人の演奏を聴きに来ています。感動しに来ています。でもその人は楽譜片手に歌っちゃうんですよ。上手に歌えたとしても、冷静に「凄い上手ですね」って言われるだけです。これは素人のカラオケ大会です。
フロントの人はカリスマ
フロントの人はカリスマです。とても神秘的で、リスペクトされる存在。神がかった存在感で人を魅了しなくてはいけません。お客さんが歌が上手いか下手かなんて考える前に、ただ涙や笑顔が出るようでなくてはいけません。
ということで、どういうご自分がどういう立ち位置で音楽を奏でているのか、是非見直してみてください。
私はもともとジャズ(もっと昔はロックか)から入ったので、結構楽譜に頼る癖があります。今でも曲覚えないでその場しのぎの演奏をしたり…。でも、ここぞという大事な時は、楽譜は見たくないです。ギターの場合はギターも見たくない。最高に集中するには自分のすべての身体的な感覚から解放されたいです。自分がだれでどこにいるかなんてことまで忘れて、ただ自然と湧き出る音を紡ぐことができるとき、本当に幸せを感じられます。是非、一緒に音楽の高みを目指しましょう。